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ギターのお話。

ギターのお話。

ライブやレコーディングでいつも使っている僕のメインギター。
Gibson J45(1956s)。
今から66年程前に造られたギター。

僕がこのギターが手したのは
確か22歳位の時だったかな。
初めてのヴィンテージギター。

僕が弾く前はどんな方が弾いてたんだろう。

ギターを始めて間もなく、
まだ右も左もわからないけど
こういう音を出したい。
とぼんやり描く理想はすごく高く、やるからには本気だと鼻息を荒くする青二才。

当時はライブハウスに何組か出るタイバン形式でバンドの中にポツンと一組だけ弾き語りという形での出番が多く、どうしたってギター1本じゃ音は負ける…と回りのバンドの大きな音に気後れしていた記憶がある。
今はそうとは思わないけど、。

そんな中でもギター1本で成立させられるような「強い音」を探していたのです。
この先どんな道でもずっと一緒に歩んでいけるギターが欲しい。
そう思っておりました。

そんな時、
お世話になっている方の紹介で
姫路にあるギターショップに良いJ45が数本あるよと教えていただき、担当の方とやり取りがスタート。

まずはメールで写真を送ってもらう。
3台のJ45の写真が送られてきた中でもひときわ気を放っていたのがわかった。
弾いてみたいと強く思ったのでした。

初めて弾いたときの正直な印象は
「なんだか鳴らないな…」
「ネックも丸太のよう…」
「好きになれるかな…」

想像していた音を出せない自分を恥じ、それでも、きっとこれを弾きこなせる時には何か探している大事な要素を手に入れられる気がしたのも確か。

他のギターにはない「強い音」。
楽器だけの問題ではなく
弾き手がその楽器をどう鳴らせるか
、一体化できるかがとても大事なんだと今でも思う。

「易さ」も大事な要素だけど
「にくさ」を克服した先にきっと自分も知らない新たな音に近づけるんだろうと。
当時もそう考えておりました。

僕はこのギターに育ててもらっている感覚がとても強いのです。

他のモデルのギターも、
同じ年式のJ45ももう1本あるけど、
このギターには乗っている想いもひとしおなんだと思う。
決意の1本だからかな。
他にはない重みで支えてくれる音なのです。

だから壊れたり本調子じゃないと
僕のメンタルはまるで猫を心配するかのごとし。

僕が弾き始めてから17,8年。
細々部品の取り替えはしてきてたけど、大きな健康診断もあまりせずに酷使してきたせいか、
去年くらいから元気がなくなり、
ここのところ音が失速気味で前に飛ばず明らかに不調だった。

原因はなんだろう…
箇所はどこだろう…
どうしようかな…
と悩んでいたところ、
violin&guitarの裕さんの紹介で巡り会わせていただいた職人さん。
海外のアーティストとも交流がある方らしい。

まずは一度職人さんに診てもらって
どこがどうなっているのかを知ろう。
そう思い工房へ足を運びました。

諸々現段階での印象を伝えると
細かい部分を診て少しの作業。
大きな問題を抱えているのでは?と思っていたけど、

「年式にしてはとても状態良いよ。大事にしてるんだね。わかるよ。」

安堵した。
塗装が剥がれるので汚れもあまり拭き取れずにいたので、ぼろくそに言われるかと心配していたと言うと、

「それが良い」
「しっかり育ってる」
「生きてるんだよ」
「古く乾いた音がするよ」

予想外な言葉になんだか嬉しくなる僕。

職人さんってすごいな。
考えられる確かな箇所を細かく説明してくれて、自分の目で確認もさせてくれて、なるほどとうなずく。
とても勉強になるのです。

箇所を全て直すには数ヶ月とかなり時間がかかってしまうので、
とりあえずは応急処置を。

作業が進むごとに
びっくりする程良くなっていく。
にこにこが止まらない自分がいた。

裕さん、本当にありがとうございます。

ライブも近々入っているので、
期を見て改めて作業をお願いしようと思います。
診ていただけて本当にありがたかったです。

J45さんはどう思ってたのかな。
頼りないなぁと思いながらも一緒に歩いてくれてたのかな。
これからもずっと一緒に歩く気満々の僕の大切な相方のお話。

無理をかけてしまってごめんね。
これからもよろしくね。

君の音は僕の音。

「お前のものは俺のもの、俺のものも俺のもの」とあの有名なジャイアン的発言に聞こえるけど、
これってちょっと奥で捉えると深い良い言葉だなぁって。

どうやら僕は一生手放す気はないようです。

やれやれと聞こえた気がした。

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